自分のバカっぷりを意識するって、やっぱり難しい。

 昨日の合同練習の前に、こいつを読了しちまいました。
 土曜日に阿佐ヶ谷のブックオフで購入。ひさびさにベストセラー読んでみました。

 「バカの壁」(養老孟司新潮新書
 http://www.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=31114125
 ついに100万部を突破した(らしい)ミリオンセラー。4月に刊行したばかりの新潮社としては万々歳の出足だよね。(Q的にはデザインが古くさく思えるんだけど)
 
 内容ですけど、解剖学者で脳に詳しい著者が、「人間にはお互い相容れない部分がある」ということを語ったもの。人と人の間には高さや厚さはマチマチだが、お互いの理解の相容れない壁があり、それを「バカの壁」と呼ぶ、というお話です。
 氏の講演集を新書用にまとめた感じなので、文脈が統一されていなくて読みづらい気がしました。オイラみたいなヒネた読者じゃなく、純粋な読者にとっては簡単で読みやすいのかも。
 オイラとしては、話があんまり印象に残らないのよね。確かにおもしろいことは言っているんだけど、店頭のPOPに並んでいるような「目からウロコ!」という気にはならんというか。

 しかし一番気になるのは、こんな東大教授の難しそうなテーマで、何故ミリオンセラーになるか、ということ。
 過去にも旭屋書店のベストセラー読解にも書いたけど、学生は脳の仕組みについての方面から、社会人は人間関係方面から、この本を手に取っているとおもうのだが、もう一つの可能性が考えられるのです。
 この本を手に取った純粋な読者が「あー、やっぱり人と人の間には理解できない壁があるのね、おわり。」という読み方をする人、もしくはそれを確認したいために本を手に取る人。

 ホントは著者は、「壁があることを知ることで、自分の範囲を知ること、相手にも範囲があることを知ること。そして相手に対して想像をめぐらすことが大切だ」ということを書いているのですが、果たしてそこまで読み進められた人がどれだけいるのか?Qたろうはそこが正直不安なのです。
 「壁があること」で安心したい人が免罪符的にこの本を手にしていたら、と思っちゃうんだよなぁ。伺いすぎかな?

 「壁があるんだって」で止まらないで、「なぜ壁があるのか、壁があってじゃあ自分はどうすればいいのか」というふうに読んでくれたら、本読みとしては嬉しい!そういう能動的な行動こそ読書の醍醐味なんだもの!