日本中の書店員が勧める「夜のピクニック」

a2c_sato2005-06-16

 ひさびさに、Qたろうが小説を読了したよん。
夜のピクニック」(恩田陸・新潮社)
 http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31407939
 書店に勤める書店員が、自分たちの売りたい本を投票し、大賞を決定する「本屋大賞」の第2回受賞作。
 http://www.hontai.jp/
 北高の一大イベントである「歩行祭」。イベントといっても、ただ夜を徹して80キロという道のりをひたすら歩くというもの。この歩行祭で3年生の甲田貴子は、同級生の西脇融にある「賭け」を果たそうとしていた。実は貴子と融は異母きょうだいであり、この3年間視線を合わすことも口をきくことすらなかった。お互いに避けながら高校生活をすごしていたものの、どこかわだかまりがあり、しかしお互いともそれを解くことができない状況。貴子はゴールまでに、融と話をする、ただそれだけのことなのだが・・・

 ひたすら単調に歩くという、脳内がじわじわと疲弊をおこす感覚がハイになる感じで、サウナのように気持ちいいけど息苦しい感じ。疲れで体がいうことをきかないじれったさと、貴子と融の関係のじれったさが相まって、焦燥感を高めてくれます。
 ○○○の設定が少し唐突過ぎるなーと思ったけど、やはりキーパーソン。
 歩行祭という話の設定もいいかもね。おかげで携帯電話もパソコンも刺激的すぎる惚れたはれたの恋愛も登場しない高校生のお話だから、老若男女とも共感できる。

 あー、でもこんなじれったさ、誰にだってあったはずだよ。
 いま思い起こせば、幼すぎて顔から火が出るほど恥ずかしいこと。今となっちゃ大人の自分が当時の自分に「何でそんなこともできないの?」と呆気にとられるようなこと。けれどそれが人生のすべてだと思っていた時代が誰にもあったんだよな。
 歩行祭という、ただ歩くだけという他愛のないイベントが、その人のマイルストーンであったりする。
 決してスッキリとはしてないけれど、純粋にポジティブに生きていた青春時代を、テープを巻き戻すように再生することができる作品です。

 しかし登場する友人が、見栄えも良く、賢くて、友達思いのいいヤツばかり。ありえないー。