主人公を自分に投影できるマンガは売れる第一条件。

 久々に乗らないと機嫌が悪いので、バイクに乗って秋葉原までいってきました。
 中古PCがたくさん!相変わらず魅惑の町だこと♪結局何も買わなかったけど。そのまま亀戸にある友人宅を訪れ、帰ってきました。

 友人を待つ間にこの本を買って読んでしまいました。
 「バブルの復讐 精神の瓦礫」(斎藤貴男講談社文庫)
 http://www.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=31145931 

 もともとは岩波書店の雑誌に連載された記事を単行本化したものなので、テーマがやや古びている感はあるものの(携帯電話の普及で交通事故が増えている、とか長野オリンピックの公共事業後の不況、とか)、斎藤氏の今の活動の根っこにあるテーマが書かれてあって、なかなか興味深いのだ。 

 一番興味深かったのが弘兼憲史のお話。
 斎藤氏本人もファンだという、弘兼憲史氏のマンガの作風がバブル時代を期に変わった、というお話です。
 弘兼氏の代表作といえば「課長島耕作」。オイラみたいなヒネた読者は「こんなサラリーマンいねーよ!」と叫んでしまいそうですが、簡単に言えば格好良くて仕事がバリバリできてしかも汗臭く泥臭くなくもちろんモテる、そんな初芝電産の係長、島耕作のお話です。
 現実ではしがないサラリーマンが、マンガを読んで一縷の希望を得ることのできる爽快マンガってところでしょうね。
 斎藤氏は、「島耕作」以前は私立探偵が市井の人との交流を描いた「ハロー張りネズミ」や一話形式の市井の人の人間模様を描いた「人間交差点」など主人公はどちらかというと弱者に立っていたものが、バブルを期に島耕作のような一流会社のエリートサラリーマンや、二世議員の政治ドラマ「加地隆介の議」などの高みに立つ人のテーマに変わってきた、という。

 うーん、弘兼マンガはキチンと読んだことがないからわからんし、本人も「作風が変わったとは意識してない」と言ってはいるからなあ。むしろ編集者が時宜にかなったテーマを描かせている意味では、それに作風を会わせることができた弘兼氏の才能の勝利という考え方もできる、けどね。

 しかし確かに「人間交差点」は面白い!
 今、土曜深夜にテレビ東京でアニメ化されて放送されてます。
 http://www.tv-tokyo.co.jp/anime/humanscramble/main_index.html
 おお、豪華な声優陣だ。
 
 こういう地味〜なマンガが評価される世の中ではありたいよね。