物書きがビジネスとして成立する?しない?

a2c_sato2005-03-10

 会社駅ビル八重洲ブックセンターで購入、さっくり読了!
 「売文生活」(日垣隆ちくま新書
 http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31503368
 説明するまでもなく、オイラのフェイバリット作家日垣氏の新作。「文を売って生業とするとはどういうことなのか」を歴史をひも解きながら書いていきます。
 原稿料が仕事の単価の基準として、現在の20×20=400字文字が作られたものであったという歴史。日本が誇る文豪夏目漱石も、原稿作成、出版について事細かな契約を交わし、つまり日本初のフリーエージェント作家であったというのも刮目する点。
 今回は日本の時勢評論ではないので、盛り上がりはそれほどだったかも。しかし人の懐具合を知るというのは、実は楽しいかも。

 作家とはもちろんフリーランス。安定した収入がなく、日垣氏が有料メールマガジンを始めたのも、安定収入を得るメリットがあったからです。作家が収入を得るための方法は「原稿料」「印税」「その他の収入」。これをいかにバランス良くして安定的に収入を得ることができるか、ということなのです(いわゆる知識人として作家の人々がテレビやラジオに出演したり、講演会を行ったりするのは、出演料や講演料といった「その他の収入」。もちろんこの収入が割がいいですが、安定もしてません)。
 ちなみに日垣氏も公正を期すために、自らの収入の割合を「私の場合2005年1月現在で、原稿料:印税:有料メルマガ;その他は1:1:1:1の割合です」
 確か有料メルマガの購読者は1000人ほど、とどこかで書いてた気がする。有料メルマガは購読が月に1000円(年間割引10,000円)。とするとメルマガの収入は・・・100万円!
 これが1:1:1:1、つまり4倍ってことで、氏の月収は400万円!!
 もちろん「経費の多くが自己負担なので、フリーランスの1500万円はサラリーマンの600万円しか相当しないでしょう」とも。
 
 とすると、400×(600/1500)=160万円
 ってなところでしょうか。

 文を生業にする人が「まともな」仕事である事を、金銭面からバックアップする点において、この本はすぐれた本ですな。もちろん交渉における日垣氏の強さも留意すべき点ではありますな。