現実と仮想世界の間で考える「ルサンチマン」考 その3

a2c_sato2005-04-13

 続けて続けて「ルサンチマン」表紙は最終巻でもある第4巻。前の2冊とちょっとデザインが違うのが分かるかな?

 現在のネットワークゲーム状況はといいますと、ブロードバンドの影響もあり、けっこう進化しているようです。Qたろは大学以来テレビゲームに触れていないので、何とも詳しい実情はわかりませんが。
 話に聞くと、例えば大学時代の友人は今や立派なNEETとなって、ネットワークゲームの世界では「強すぎる」輩となって、某掲示板では匿名の集団に「あいつを潰そう」というレベルにまで至ってしまっている、らしい。
 また会社の後輩の話だと、ネットワークゲームの世界では、諸用でゲームを終えるときに「んじゃ、バーチャルの世界でバイトあるから行ってきます」「逆になってんじゃん、オイ!」というちょっとした自虐的お約束ギャグが流行っているようです。

 「ルサンチマン」ではまだまだ中途半端な仮想世界ですが、もし仮想世界が現実世界と代わり映えがない感覚を与えてくれるのであれば、仮想世界を自分の都合のいい世界に仕立て上げ、リアル世界には戻りたくないでしょうし、そもそも現実世界でモテないからリアル世界に逃げ込む人を、簡単には非難はできないでしょう。
 「ルサンチマン」でも、拓郎の友人、越後は拓郎以上のチビで性格の歪んだ人間。しかし仮想世界では2枚目、背は高く、茶髪のサラサラヘアーの「ラインハルト伯爵」として5人の女性に囲まれて生きており、仮想世界内では高い位置の存在。かたやリアル世界ではパン工場をクビになってしまい、家はゴミだらけ。マンガの中でもやはり仮想世界にハマりすぎて破産したり、飲まず食わずでやっているものでハマり過ぎで餓死してしまってり、マイナス面も少し登場します。たしかネットゲームが発達している韓国では、連続プレイしたあと突然死したりする例があったような。その面では、決して未来の未来の話というわけじゃなさそうですし。またネットワークゲームがひきこもり、NEETを増やしているというのも一面でしょう。

 越後、もといラインハルトは言う「俺たちは現実世界には逃げ場すらなかった」
 一方最終回に、長尾は言います「生きてりゃ痛いに決まってんでしょ!!」

 自分を生かし、自分をどうやって高めていけるのか、それがおそらくは、人間が生きていくテーマでしょう。

 とはいえ、結果ぶっちゃけ言っちゃえば、コミックのストーリーも小学館が刊行する週刊誌「ビックコミックスピリッツ」に連載された、花沢健吾氏が描いたマンガ、というアンリアル。自分の都合良く動いてくれる仮想現実の女の子も、自分に好意を持ってくれる現実の女子も、コミックというアンリアルの中。
 あなたの現実はどこ?