懐かしいだけなじゃい「ALWAYS 三丁目の夕日」
新宿コマ劇場の映画館で見ました。
「ALWAYS 三丁目の夕日」
http://www.always3.jp/index02.html
この映画が「なつかしブーム」の一環みたいで敬遠したのですが、どうも悪い評価じゃないぞ、ということを知って、いそいそと見に行きました。
結構、いやかなり泣けますがな。
昭和33年、東京タワーがつくらえている途中の時代。
売れない文学青年で児童文学で糊口を凌ぐ茶川竜之介(吉岡秀隆)、その向かいに小さな自動車修理工場、鈴木オートを経営する鈴木則文(堤真一)と妻(薬師丸ひろ子)と子ども。その鈴木オートに青森からの集団就職してきた女学生星野六子(堀北真希)がやってきて、竜之介が気に入るヒロミ(小雪)の営む、飲み屋に引き取り手のない少年淳之介がやってくるところから話が始まります。
テレビが家にやって来たり、遠い街からは蒸気機関車が走り、オート三輪が街を走り、コーラがハイカラな飲み物で(「醤油飲んで死んじまえ!」は腹抱えて笑った)、狸がまだ近くに棲息しており、子どもたちは空き地でフラフープで遊ぶ。文芸もまだ時代の要請があった。
一方で電機冷蔵庫が登場すると同時に氷屋は仕事を失い、東北地方では「口減らし」は当時まだまだ通用する話だった。「お妾さん」という立場もまだ世の理解を得ており、親の引き取り手のない子どももきっと存在したのだろう。ちょっとした水商売でも女性は白い目で見られる。戦災で妻子を亡くした人もいた。
実は、決して明るいだけの時代でもなかった。ちゃくちゃくと時代が変わろうとしていた時代だったのだ。
このあと東京オリンピックにともなって新幹線が走り、東京は高速道路が網の目に巡らされ、日米安保で日本中がひっくりかえるような騒動になった。学生運動に大阪万博に成田紛争に公害にオイルショックに日本列島改造論。。。昭和33年というのは、今の日本と昔の日本のちょうどギリギリの転換点だったのですね。
東京タワーが間近に見える設定あたりから、どうやら現在の虎ノ門・神谷町あたりでしょうね。仕事でちょろちょろ廻りますが、あんな古い町並みがあったなんて想像できません。映像技術で路面電車や当時の広告物までリアルに再現されているからすごい。まるでその時代の本当の映像を見ているよう。
ちなみに話の中で、少年たちが親に黙って高円寺に行くのですが、その路面電車の停留所の名前まで細かに書いてあった!「馬橋二丁目」。細けぇー。
これは今で言う地下鉄丸ノ内線の新高円寺と南阿佐ヶ谷の中間点より、やや高円寺寄りのポイント。っつーか毎日通勤してるっちゅーねん、ワシ、ここ!昔はこんな光景だったとわなぁ・・・今を知ってるからなおのこと、町並みの変化にびっくりしますよ。
しばし余韻に浸れる、いい映画でした。