こんな「雑読」にあこがれる

 部屋が狭くなるから、という理由で、引っ越してからコタツを出していなかったんだけど、あまりの寒さに登場。
 そしたらコタツでウトウト寝てしまい、そのまま朝ってことがことが多くなってしまった。
 缶ビール1本ほろ酔いでコタツでウトウト。止められれんのよぉー。

 そんなウトウト気分で読んだのがコレ。
 「雑読系」(坪内祐三晶文社
 http://www.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=31086593

 坪内祐三氏は今いちばん脂の乗っている文芸評論家。
 同じ文芸評論でも斎藤美奈子氏は社会事情に話が広がって行くが、坪内氏はもっぱら文芸。

 Qたろのの日記のように、ジャンルの異なるさまざま読んだ本を紹介していくのだが、何せジャンルが違うと言っても文芸に限ってるため、紹介している物の8割くらいは知らない人、知らない本ばかり。本人曰く「シブい本」。
 しかし知らないと言っても、なにがし興味を持たせてしまう文章がまたニクいんだよなぁ。
 触りがやさしいんだな、彼の文章。

 このなかで一番気に入ったのが「さよなら太雅堂」
 三軒茶屋にあった古本屋と坪内氏のお話。
 子供の頃世田谷に住んでいて、プロレス雑誌を探すところから彼と古本屋の出会いが始まり、その後成長した後も文芸にジャンルを移しながら、彼と古本屋の関係は続いていく。そしてある日古本屋の主人が、芥川賞作家の出久根達郎の小説の中にあった「加藤さん」という人物であることに気づく。しかし分かってはいても恥ずかしくて声をかけられなく、しばらくして買おうと思っていた文芸全集を買えずに閉店してしまう。

 オイラの「書原」もそうだけど、本屋との出会いって重要だなーっておもう。
 お店の人に声をかけられずとも、その品揃えなんかで店主の意向がわかってしまうと、思わず嬉しくなって笑っちゃうんだよなぁ。そんな店に出会えるのはなかなかない経験なんじゃないかなぁ。

 ちなみにオイラは九州出身で、今でもこんな古本文化なんてないもんね。羨ましい。