アザラシとトキの権利を考える(ウソ)

 ニュースを見てると、「ニシタマオ」さんの周辺が騒がしいみたい。
 「ニシタマオ」さんとは、こないだ横浜市西区から住民票が交付されたさすらいのアザラシ、タマちゃんのこと。

 なにやら「想う会」だの「見守る会」だので小競り合いしてるし。

 「捕獲して海に返してあげるのがタマちゃんのためだ!」
 「違う!このまま自然に見守ってあげることが、タマちゃんにはいいんだ!」

 あのさ、そんなエネルギーや時間あったらさあ、北朝鮮拉致家族支援とかイラク空爆反対運動とかすれば?
 
 そんな時にこんな小説を読んでみました。
 「ニッポニア・ニッポン」(阿部和重・新潮社) 
 http://www.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=30873650

 「ニッポニア・ニッポン」というのは、絶滅種の国鳥、朱鷺(トキ)のこと。

 「鴇谷」(ときや)という名字からトキに親近感を持った18歳の主人公。トキを探っているうちに、果たしてトキをめぐる環境はおかしいのではないか?と思うようになる。
 なぜ「日本産」のトキがいないのに、中国のトキを借りてまで繁殖に血眼をあげるのか、それを「国産」と呼ぶのはおかしいのではないか?それはただトキを生かしたいと思う、日本人の欺瞞なのではないか?と
 その意識が少年の名前の共感も手伝って肥大化してしまい、ついには「人間の描いたシナリオ」つまり繁殖させることから解放すること、つまりトキを殺すことで自分も世界も救われると思ってしまう。
 そして少年は着々と計画を進行し、保護センターのある佐渡へ向かう・・・
 
 小説のとっかかりが馬鹿げていてしかし、どこか核心を突いて笑えないテーマってのが、憎い。
 ちっとインターネットの取り上げ方が、オッサン臭いけど。

 本文は160ページくらいあったけど、すいすい読めた。
 「読みやすい」ってのは「いい本」の条件だよ。

 
 ところでこの本は、勤務先の駅前の古本屋で買ったんだけど、読んでて途中に写真が差し込んでありました。
 それは、この本を写した写真(きちんとビニールかかっている)

 なんだよ、怖ぇー。