タブーに迫る2作、オウム真理教と放送禁止歌。
東中野にある小規模映画館、「BOX東中野」。
いつも中央線から見える建物を見て、ぴあの映画情報を見て「あ、今度見に行こう」と思いつつも結局一度も行けなかった。
なかった、と書くのは、このBOX東中野が4月末をもって閉館になってしまったからなのです。
銀座や渋谷のおシャレな”ミニシアター”とも違う、一癖もふた癖もある映画を上映してきたのですが、そこで1998年に上映された「A」という映画。
「オウム側から見たわれわれの社会」をテーマに自主製作した森達也氏の監督の映画であり、その撮影日誌の単行本を読了!
「A マスコミが報道しなかったオウムの素顔」(森達也・角川文庫)
http://www.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=30917045
そうそう、雑誌で古舘伊知朗と対談してた人。
作中にも書かれますが、「オウムのドキュメンタリー」って聞くと映画館も引いてしまって、実際に日本で上映できたのは、BOX東中野だけだったのです。
もともとこの「A」も製作開始時点ではテレビ放映の予定だったのに、製作会社との対立でボツになってしまい、やむなく映画で製作になってしまったものなんだよね。侠気ある映画館がまた一つ消えてしまいました。
http://www.mmjp.or.jp/BOX/
読んだ後できづいたのだけど、過去に「放送禁止歌」という番組をつくったのも森氏だったんだね!知らなかったよ。
立ち読みで思わずのめり込んで、読了したもんね。(おい)
「放送禁止歌」(森達也/著 デーブ・スペクター/監修・解放出版社)
http://www.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=30710920
「放送禁止歌は何故生まれたのか」という氏の疑問から出てきた答えは、そもそも規制する団体もルールもなかった。出版社や放送局のメディアが問題が生じるのを恐れて自主規制していただけだった、というもの。
番組もリアルタイムで見たけど、衝撃的だったよ。最後のシーンは真っ黒い画面に、右下にカウンター、そして放送禁止歌が流れるというもの。
そこで禁止歌がなぜ禁止歌なのかを見ている人に問わせるために、テレビで映像は何も流さずただ音楽だけ流した、というテレビのタブーを破った森氏に敬意を表したい。
「タブー」こそ疑問の原点。
マスコミ批判というよりは、「何もなかったことにしよう」という空気への嫌悪が2冊から溢れてます。