伝説の雑誌「マルコポーロ」と花田紀凱(元)編集長

 ホントは1日発売なんだけど、立ち読みしたのちに購入決定!
 月刊「編集会議」
 http://www.sendenkaigi.com/web_pub/2003/2003_07.html
 書店営業の話、オイラも担当しているビジネス雑誌の話があったので、つい購入しちったわ。

 ヘンな表紙〜、と嘆くなかれ。これでも(いちおう)編集長は花田紀凱氏なのだ!
 
 花田ってだれ?という人が多いと思われるので、説明。

 昔「マルコポーロ」という雑誌があったのを知っているかな?
 この雑誌は文芸春秋社から刊行されていたのですが、1995年の2月号での特集「ナチ「ガス室」はなかった」でイスラエル等の猛抗議を受け、雑誌は廃刊、この時編集長だったのが花田紀凱氏なのだ。
 もともと文芸春秋社で「週刊文春」の編集長を務め、テレビや雑誌などの多くのメディアに露出していたところから、「スター編集長」なる扱いを受け、しかも一転して廃刊、退職を余儀なくされた悲劇もまた彼を目立たせることとなりました。
 しかし本当の悲劇はこれから。朝日新聞社に転籍して「uno!」を創刊するも今ひとつ伸びなく休刊、オファーのあった角川書店の「Mens Walker」も再建することができず、そして今の宣伝会議(これ会社の名前ね)の「編集会議」で編集の現場をテーマとする雑誌で編集長をやっております。

 花田氏は今でもたまにテレビに出てるよ。やっぱ編集長って肩書きはインテリジェンスだし、かといって新聞社の編集委員みたく胡散臭くもないからね。

 この最終号となった「マルコポーロ」、オイラ古本屋で見つけたから買ってみたけど、今読んでも古びてないよ、正直。
 文春ジャーナリズムを踏襲する硬派の取材記事、メディア批判、広告との上手なタイアップ、神保信長や太田垣晴子など今を時めく書き手の起用、写真は篠山紀信などなど、あげていくとキリがない。
 そして一番重要なのは、1995年1月の時点で、江川紹子を書き手に「松本サリン事件はオウム真理教の可能性がある」と書かせていること!地下鉄サリン、その後一連のオウム事件が世間をにぎわせたのが1995年3月だから、それ以前に事件をスクープしていたのだ!
 「ナチガス室」事件がなかったら、マルコポーロは今では「サリンとオウム」を結びつけた最初の雑誌としての評判をあげて、雑誌ジャーナリズムに確固たる地位を作っていたかもしれない。
 
 かもしれない、ってのはやっぱり空しいもんだ。