リリー・フランキーって外国人作家じゃないからね。
こんなキャラクター知ってる?「おでんくん」
http://www.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=30916411
http://www.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=31073422
すでに2冊絵本が刊行されていますが、この可愛い可愛くないギリギリのキャラクターを手がけているのが、リリー・フランキーなのです。
まず名前からして何者?感を否めない彼なのですが(フジTV水曜22時の「ココリコ・ミラクルタイプ」でたまに登場してたまに語らずに終わっちゃう「インテリスケベオヤジ」の人!)彼が初めて小説を手がけたというので購入、即読了!
「ボロボロになった人へ」(リリー・フランキー/著・幻冬舎)
http://www.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=31125243
短編小説6作が綴られています。
いやー笑えるしおどろおどろしいし感動的にできてるなー。
まず倒錯してる世界観の設定がおもろすぎる。「家と畑の移動にランボルギーニを走らせて、オランダ人労働者を雇っている麻薬農家」とか「軽犯罪でも実刑が死刑しかない国」とか。すべてがこんなんじゃないけど。
考えてみりゃ、おでんをキャラクターにすることと大差はないだろけどね。
しかし彼の文章のおもしろさはそこだけじゃなく、「根元的な人間の醜悪」と「ふとした幸せの光明」ですな。倒錯した世界でもがいている主人公がいても、それに対して決して裏切らずに結末が前向きなのが、彼の優しさなんだろうな。
しかし彼の真骨頂はコラムだから、こいつは外しておけない。
「日本のみなさんさようなら」
http://www.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=30552988
おお!文春から文庫版も出ているんだ!
http://www.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=30941409
彼の敬愛する日本映画(紹介されてあるものの8割はたぶん知らない)の彼独自の感想評。
このタイトルにもなっている「日本のみなさんさようなら」は、彼が見た映画「日本沈没」の中のシーンでいちばん記憶に残った言葉らしいのだが、実は映画の中ではそんなセリフはないらしいのだ(いったい誰が調べたってんだ!)
映画の中のセリフを調べさせてしまうくらい、彼の描く世界というのは「ギリギリ」なんだよねー。
そして「いろいろ動かされたけど、おもしろいからいいや」と安堵してしまう、そんな不思議な書き手なのだ。