不確かだからこそ惹かれる「絶対音感」と「青いバラ」

 言っちゃなんですが、Qたろうは学校の音楽の授業で困ったことは一度もありません。好きだからというより、音が理解できる、楽器で音を出してはずれることがない、という感じ。
 しかしこれが「絶対音感」だってことを知るまで人生○○年くらいかかりました。というか、自分がそうできるからみんなもそうできるもんなんだろうと勝手に思いこんでたのよね。むしろ逆に「なんでこの人こんなにオンチなんだろう」と疑問に思っておりました。向こうにとっちゃ「なんで他の人は的確に音を出せるんだ」って人生の至上命題みたく思っちゃってるんだろうけど。
 
 で、ここまで書いて、かなりの敵意を一身に受けたことと思いますが(笑)昨日書いた「あのころの未来」の著者、最相葉月氏が一躍有名になったのが、この本のヒットを受けてなんですね。
 「絶対音感」(小学館
 http://www.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=28371517
 すでに文庫版も出ています。
 http://www.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=31018294
 
 「絶対音感」をめぐる人々のノンフィクション。自分以上の絶対音感の持ち主がたくさん登場します。
 この本が売れたのは、絶対音感が特殊能力のみたく思っている人がたくさんいるからなんでしょうな。結論を言えば、絶対音感があるからと言って、人生が豊かになるワケじゃないってことです。だからない人は心配しなさんな(←偉そう)

 そして最相氏の2作目がこれ。
 「青いバラ」(小学館
 http://www.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=30825100
 もともと「青いバラ」という言葉は英語で「不可能なこと」を意味するそうだ。
 最近のバイオテクノロジーの進展で「青いバラは可能かもしれない」という空気の中、青いバラを巡る人々のノンフィクションになってます。
 本作の中心になるのは「日本のバラの父」と言われる鈴木省三氏。本文冒頭の「青いバラがあるとして、さてそれが本当に美しいと思いますか」という鈴木氏の最相氏に対する問いかけは、読み進めれば進めるほど、この言葉が頭から離れなくなってしまいます。

 絶対音感にしろ青いバラにしろ、近い将来それが解明される日がやって来るでしょう。そのとき私たちはそれをどう感じるのか、どう受け止めるのか。最相氏は「科学バンザイ」にならず問いかけを止めないところに、Qたろうは好感を持ってしまうのです。