キーワードはフラット、ユニット、データベース

 前に読んでたんだけど、紹介するタイミング損なっちゃってたよ。

 オイラのフェイバリット著者の、永江朗さんの新作。
 「平らな時代」(原書房
http://product.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=31187576
 平らなデザインです。

 この永江氏、今はフリーライターとして活躍しているが、以前は池袋にあるリブロにつとめていたことのある人物なのだ。当時のリブロは80年代、いわゆるカルチャーもイケイケだった時代で、彼もそこから多く影響を受けたようです。
 そんな彼が、最前線のアーティストたちにインタビューしたのが、今回のこの本。

 写真家のホンマタカシ氏、美術では会田誠氏、音楽ではキリンジ堀込高樹氏、建築のアトリエ・ワン(←人名でなくユニット名)、進化論学者の佐倉統氏、デザインの柏木博氏、文学では角田光代氏、漫画家の古屋兎丸氏、映像の中野裕之氏、ファッションのYABーYUM(これまたユニット名)

 オイラの読書遍歴では出てこないアーティストの方々ばかりですなあ。
 
 この本では、永江氏は一つの仮説を立てて、インタビューに赴いています。
 その仮説というのは「オタク世代以降の人々は、物事をすべてフラットに見ているのではないか」というもの。
 オタクがそれ以前のコレクターと違うのは、情報を一度すべてデータベース化してしまい、そこから個人のよしあしの判断で対象物に取り扱い、そこでは歴史的な権威や評価、学術的な系統立てというのは存在しないのではないか、ということです。

 ↑こういうことは、なんとなくわかるよね。日本の経済成長を背負った大企業がこれだけ潰れてしまい、「アメリカ対ソ連」みたいなわかりやすい世界権勢構図がなくなってしまえばね。そこにあるのは「いいか悪いか」「好きか嫌いか」「おもしろいかおもしろくないか」という自己判断だけだもの。

 ま、その判断ってのも怪しいもんだけどね、技術やセンスがなきゃ。でなきゃ、ブランドバックを手に入れるために行列つくることもないだろうに。 

 とにかく、現代のアーティストの行動は、これからの社会を大きく変える可能性はいくらでもあるから、注目・必見です。
 
 インタビュー本って、読み込んでいくと、その場の空気が見えてくるもんなんだね。意外な発見!
 ほら、文章が長いと眠くなっちゃうじゃん(おい)