2004年デジタル読書時代、はじまる。その2

 そうそう、デジタル読書のお話。
 「ブック革命」(横山三四郎/著・日経BP社)
 http://product.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=31311811 

 一時、携帯電話のシェアを変化させた「写メール」現象があったのは記憶にあるかな。
 それまでドコモのシェアが大きな割合を占めていたものを、カメラつき携帯を発売したJ-PHONEが大きくシェアをのばす要因になったのだ。
 このときにはじめてカメラ付き携帯を制作したのは、それまで携帯ハードメーカーでもシェアのなかったシャープ。なぜ、シャープは成功したのか。
 実は、それは書籍の電子化と関連があったのだ。

 今でこそシャープは携帯だけでなく液晶テレビでもシェアを大きく占めており、「液晶技術といえばシャープ」とまで言われるようになった理由は、そもそも「電子テキストを見やすくする画面を開発できないか」というところから始まるのだ。
 
 「ブック革命」では、大手出版社のデジタルコンテンツ事業の現在や、各ハードメーカーの読書端末の開発状況、その先駆けになった電子書籍コンソーシアムの経過など、興味津々のことばかり書かれてあります。

 たとえば、電子ブックが普及すれば紙メディアが必要なくなって、紙・パルプ資源の使用を減らすことができるとして、実際に人口増に頭を痛める中国では、小学校の教科書に電子ブックを採用しようとしているんだって!
 しかも電子ブックデータは再販商品(値段を勝手に変えられない)ではないので、紙メディアよりも柔軟な価格設定が可能、切り売りも可能なのだ。

 この「ブック革命」だって実際に、デジタルデータとして配信されたものなんだって。
 そのデータを配信したのは、もちろん出版社ではなく、NTTdocomoだったのだ。
 http://www.nttdocomo.co.jp/p_s/mstage/

 そう考えると、紙の本もきっと今の工芸品みたく、伝統芸能になってしまうんじゃなかろうか、と思うのよね。
 とはいえ、紙が完全になくなるとは思えないので、これからは紙データとデジタルデータのハイブリッドな活用が必要になってくるんでしょうね。

 一番顕著なのは、上の「M-stage」の店長の安藤哲也氏だろうなぁ。彼のキャリアが今の本をめぐる現状を体現しているように思えるのだ。
 彼のキャリアを辿ると、出版社営業→町の名うての本屋→ネット書店bk1店長→「M-stage」店長。
 なんかわかるでしょ。