騙されるなら、楽しく愉快に騙されたいもんだね。

 先週、駅前ブックオフにて見つけて、読了!
 「隠すマスコミ、騙されるマスコミ」(小林雅一・文春新書)
 http://product.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=31133024 

 いちばん興味深かったのが、第一章の「マスコミ騙し屋」。
 マスコミが影響力を持つこの時代に、マスコミを騙すことを信条・職業にしている人がアメリカにいるんだって!彼の名は大学教授スカッグス。マスコミにそれらしきニュースをリリースし、マスコミが裏取りすることなくそのニュースを流したら、彼の勝ち、ということらしい。
 冷静に見ればかなり「トンデモ」っぽくあっても、見ようによっては現代的でニュース性のある話ばかりを、彼は企んでニュースを流す。元海軍兵を半強制的に1日張り付けることで行うダイエット事業、迅速で公平な裁判が可能なコンピュータが完成したニュースリリース、現代人の多忙を憂い積極的に街に出た神父が軽リヤカーで作った「移動懺悔室」、ペットのストレスを解消する「犬の娼館」などなど。元海兵も神父も、もちろん演じているのは彼が雇ったエキストラ。これらは実際にテレビや新聞に発表されたという。

 スカッグスがただのお騒がせ者にならないのは、この誤報を流したことで誰も被害を被らないというところにある。誰かが損したとか、名誉を傷つけられたとか(↑よく見てみればわかるよ)。もっと言えば、もし裁判になったとしても「裏取り調査しなかったマスコミに問題がある」と指摘されるのがヤマヤマ、恥をかくのは自分たちマスコミだから、実際に誰も彼に訴訟しないのだそうだ。
 
 なぜこうなってしまうかというと、実はマスコミは「自分を売り込みたい」「世に訴えたい」というメールやファックスで溢れ返ってしまい、そこから公共性・社会性のあるニュースを拾って取材することに終始しているところに由来するのだ。

 その他にも、「ジンジャー報道」や「CG女優シモーヌ」の話が、マスコミと現代との関わりを如実に表していておもしろい!後半の話はちょっと間延びしてしまってるけど。

 これから新聞やテレビのニュースを見たときに、「何が報じられているか」ということだけでなく、「何をマスコミは報じようとしているのか」「何が報じられなかったのか」と考える必要があるよね。ウソのニュース(誤報)が流れてしまう可能性があるんだから、こっちだってウカウカしてらんない!