裁かれる人、裁く人、弁護する人、傍聴する人。

 読了しました!
「裁判長!ここは懲役4年でどうすか 100の空論より一度のナマ傍聴 」(北尾トロ・鉄人社)
http://product.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=31211381
 仕事柄法律の本を多く作っているから、それなりに興味が持てたわー。

 「女性誌ダヴィンチでは見られない、北尾氏のスパークぶりがオイラ的にはおもしろかった!何せ初掲誌は「実話ナックルGON!」という、ジャンルとしては「鬼畜系」とされる、間違いなく女性誌とは対照的、間違いなくキオスクには置いてもらえない雑誌なのです。
 裁判所で傍聴人としてさまざまな人間模様を、北尾氏はつぶさに観察していきます。
 そして乱暴にいっちゃうと、犯罪を犯してしまった・再犯にかかった「箸にも棒にもかからない」人々を観察してきます。最初のうちは裁判の仕組みや裁判の選び方などたどたどしかったものの、「霞ヶ関倶楽部」という、裁判傍聴を趣味とする(!)人々と出会うことで、裁判傍聴のコツを知り、最後の方では「なんだ衝動殺人か」「懲役4年の執行猶予だな」などかなり余裕がみてとれるのがおもしろい。
 いちばん興味を引いたのはやっぱり「裁判マニア」の人々。かれらは興味のある事件の新聞記事をスクラップし、それらの裁判の経緯を自らのデータベースにし(ジャーナリストが「欲しい!」と言わしめるくらい)、弁護士・検察・裁判官の人事動向なくまなくチェックするという熱の入れよう。食事だって一般人の入れないはずの○○省の食堂でとってたりして。

 関係ないですが、オイラはたまに仕事上霞ヶ関の省庁に出入りするのですが、省庁の中にも売店などがあって、結構充実しているのです。おそらくそこに勤めている人々は割引もきくんじゃないのかなぁ。とくに経済産業省は、省庁自身が経済振興を担っていますので、たくさんのお店が入っています。といっても吉野屋とかドトールではないけど。毎日、関連団体の衣類のバザールなんかやってます。霞ヶ関で衣料ってのもどうかとは思うけど。

 表紙や文中に挟まれる、北尾氏の正直上手でないペンイラストが、裁判を巡る猥雑さの様子と相まって効いてる!
 裁判人制度が成立したら、もっと裁判を身近に感じられるのにな、と思いました。