ジョゼと虎と魚たちと女優池脇千鶴とツマブキ

 そうそう、映画見てきましたよ。
 「ジョゼと虎と魚たち
 http://www.jozeetora.com/index_f.html
 雀荘でアルバイトをする普通の大学生の恒夫(妻夫木聡)。雀荘のマスターの犬を散歩させていると、老婆の押す乳母車が転がってきて、乳母車の中にいたのは包丁を持った足の不自由なくみ子、ジョゼ(池脇千鶴)だった。老婆と少女はボロ家に同居しており、つつがなくひっそりと暮らしていた。
 くみ子は学校へ行けず、老婆の拾った古本で学を得ていた。その中にあった1冊フランソワーズ・サガンの本をいたく気に入っており、その中に登場する「ジョゼ」という名前を自分自身名乗っていた。古本の後編を探して見つけてあげたことをきっかけで恒夫とジョゼが近づいていくのだが・・

 いやー何より池脇千鶴の演技がすごい!すごすぎる。ジョゼもただ障害を持った可憐なキャラクターでなくて、一癖も二癖もある老獪な毒を吐くキャラクターなのに、それに負けてないからね。
 そしてこの映画、意外とエロいです。恒夫には彼女がおり、最初の彼女の登場シーンで「やってます」からね。そして彼女がいるくせに福祉を志す大学の女友達(上野樹里)ともディープにチューしてますから。そうそう、池脇千鶴も脱ぎます。デートムービーとしては一考の余地ありです。
 一方で恒夫は、ジョゼとつきあってたからといって何か成長した訳でもなく、ただゴハンを美味そうに食べるシーンの印象しかないのです。朝メシもたかりに通うしジョゼ宅のリフォームに大学の女友達を呼ぶなどデリカシーもないし。なんでツマブキこんな無神経な役のオファーを受けたかが謎です。現代の若者を投影した、なんて簡単に言っちゃうことは簡単だろうけどさ。
 脇役のキャラクターも味のある人ばかり。ジョゼの老婆、ジョゼの幼なじみ、みんないい味出してますが、でもいちばん存在感あったのは板尾創路!スクリーンに登場しただけで客席がざわつくんだもん。「くるり」の音楽もよかったなー。

 原作は田辺聖子の短編小説が原作です。ちらりと読んだけど、けっこうおもしろそうだった。角川文庫で出ています。
 http://product.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=04343497
 
 こんな短編をここまで深い映画にしちゃうのはすごいねー。脚本家に拍手!