殺人者が刑に裁かれずあなたの傍にいるかもしれない

 前に書いた大宅ノンフィクション賞ですが、いつの間にか日垣隆氏もノミネートされてたのね。
 「そして殺人者は野に放たれる」(日垣隆・新潮社)
 http://product.esbooks.co.jp/product/keyword/keyword?accd=31312874
 ちょうど読み終わった所だからびっくり。でもノミネートも十分納得。「バナナ〜」がなかったら正直受賞していたと思う。

 オイラのフェイバリット作家、日垣氏の今回の「そして殺人者〜」は、氏のライフワークの集大成と言っていい、執念深い調査と分析、渾身の怒りをペンに昇華させた本だもん。オイラが今まで読んだ日垣作品の中でも最高の内容だよ。他の作品と比べても執念ぶりが一番強い!

 事件にならない殺人事件、つまり事件が起こっても犯人の心神喪失により不起訴(検察が裁判をしません、つまり犯人を法によって裁かなくてもいいです、という意思表明)になることが、ゴロゴロと起こっている、という日本の法曹界に訴える渾身のノンフィクション。
 前に読んだ「裁判官に気をつけろ!」が法曹界ジャーナリズム入門編(笑いあり)なら、この「そして殺人者〜」は法曹界ジャーナリズム応用編(笑いなし)です。

 日垣氏はこの中でしきりに刑法39条の撤廃を訴えます。すべて刑法39条の「心神喪失」によってこんな事件が不起訴にされているという。

 ・老夫婦を殺害したものの覚せい剤の使用で心神耗弱と認められ、死刑求刑が無期懲役
 ・騒音を理由に二世帯五人を殺人でも不起訴
 ・バスにガソリンを撒いて火をつけ、6人死亡・14人重軽傷でも、事件前の飲酒により「心神耗弱」と認められ減刑

 アルコールや覚せい剤服用で殺人が減刑されるんだよ。刑が重くなるんじゃないんだよ!
 
 なんでこんなことになっているのかは、字数がたりないので明日!