こんなに経済制度について考えたのは学生以来だ

a2c_sato2005-03-28

 土曜日、笹塚のファーストキッチンで読了してました。木曜日に会社駅前ブックセンターにて購入。
 「マルクスだったらこう考える」(的場昭弘光文社新書
 http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31465912
 著者はマルクス経済学を専門にする大学教授。
 すでにタイトルでお分かりかと思いますが、「マルクス経済学」という言葉が古びてしまっている現在。共産主義ソ連の崩壊、冷戦終結とともに過去のものとされてしまって久しい。
 イントロは、もし今2005年の日本にマルクスがふと現れたら彼の目に日本はどう映るのか、というところから始まります。冷戦終結アメリカ型資本主義が勝利したはずなのに、経済のグローバル化に翻弄され、リストラされた会社員、フリーターが溢れかえる日本。正社員も労働条件の悪化とそれでも押し寄せるコストダウンの連続に表情は暗い。街ゆく人に自分の名をたずねても「それってサッカー選手?」「歴史の教科書の人?でも”赤”でしょ、マズいよ」と所在もなさげ。書店に行っても著作物はマクロ・ミクロ経済学に押されるばかり・・・
 こんな21世紀の現状ををふまえて、マルクスの主張はどのように生かされるかを描いていきます。
 内容はかなり硬いぞ、第一章は大学時代のテキストを読んでる感じ。ああそうだよねと氏の主張に耳を傾けても内容が頭の中に入っていない感じ。と思ったが第二章は現代と照らし合わせながら論考が進みますので、こっちの方が読みやすい。

 (マル経を専攻したひとなら分かると思うけど)「搾取」という言葉が多数登場するのですが、現代語訳すれば労働と対価の賃金評価のギャップ、ということではないでしょうかね。今流行りの成果主義が疑問視されるのもこの点にあるから、雇用がある限りは、永遠のテーマなんでしょう。結論としては、双方けんけんかくがく話し合って合致点を見つけるしか方法はなさそうだけど。
 氏の文中に「『外部』の労働者の連携が必要」と書いているけど、必要なのは労働者の連携より個々の労働者の自立では?これからの労働者に必要なのは「あなたなしでは会社の仕事は成立しない」と言わしめる能力・技術と支払いする人への交渉能力。野球のFAを考えてもらった方がわかりやすい、とオイラは思うけどなー。
 ついでにいうなら仕事が無くなったとしても、それが日本であろうと海外であろうと稼ぐことの出来る能力。例えばパントマイムで海外の路上でお金をいただくこととか。でもそれが、会社で正社員を続けるより番難しいんだけど。ボヤきながらも会社という組織に雇用と安定的な収入を保証してもらうか、もしくは自分の能力を最大限に生かすために会社と対等な立場で交渉できるか。その「組織人」と「フリーランス」との柔軟な融合が必要なんではなかろうかい。
 でもやっぱ構造主義とか弁証法って言われてもわかんねーや。基本的に難しい本だと思って下さい。