まさに「失敗は発明の母」だね「失敗学のすすめ」

a2c_sato2005-05-03

 先週仕事途中に紀伊國屋新宿本店で購入。読み終わりました。
 「失敗学のすすめ」(畑村洋太郎講談社文庫)
 http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31511682
 著者は東京大学の機械工学の教授。大学で教鞭をとるうちに、真に学生に知識を身につけさせるには失敗を知ることだと気付き、失敗に関する全ての事象を系統立て「失敗学」として学問にしてしまった氏なのです。
 失敗とは、経験をもって成功につなげるプロセス。失敗について過度に責任ばかりを追及することは、健康上よろしくないよね。
 子どもに「危ないから」といってナイフを取り上げるのでなく、安全な範囲までナイフを使わせ、それについては大人が万全に対応することこそ、子どもにナイフを教える方法だと思いますね。教育を受けずに、大人になってから取り返しのつかない失敗をしてしまうことの方が問題。でもそういう大人って正直多いよね。
 いや、大人でもいいんです。いろんなことに多く取り組んで、自分なりの試行錯誤ののちに、自己流だとしても解を見つけるそのプロセスこそ貴重なのですから。人類の進歩だってそんなもんでしょう。
 科学技術によって、世の中生活はどんどん便利になっていく。生まれた時にテレビがなかった人とあった人では、テレビに対する認識も全然違うと思うのですよね。正直オイラだって、テレビがどうして映るのか、いまだにわかっていない。パソコンなんて最たるもので、まさか今のパソコンの祖先が電卓だなんて、今の小学生には想像にもつかないでしょう。
 どんどん科学技術が進歩していくことは、技術に対する認識が衰退しがちな傾向にあることにもなるのです。
 
 文中にあるこの言葉。「想像力を身につける上で第一に必要なのは、決められた課題に解を出すことではなく、自分で課題を設定する能力です。」名言やねぇ。

 現在のニュースで起こる、事件・事故。それだって「失敗」の山なのだ。先日のJR福知山線脱線事故にもあるように、取り返しのつかない、言ってしまえば死傷者を出す大惨事になる前に、カーブに入るスピードの制御技術や、強行な運行ダイヤの見直しなど、何かできた事があったはず。取り返しのつかない事になる前の、小さな失敗に気づかなかった事に、また気づいていても対処しなかったことが、非常に悔やまれます。