「あっち側」と「こっち側」。「ウェブ進化論」

a2c_sato2006-03-19

 久々に、読み応えがあって、「なるほど!」という本に出会いました。
ウェブ進化論」(梅田望夫ちくま新書
http://7andy.yahoo.co.jp/books/detail?accd=31661776
 水曜日に本屋で何気なく手に取ってパラパラと読んで、「お、これはおもしろそうだ」と思い、翌日のめざましテレビで紹介され、さらにオイラの信頼のあるビジネス誌サイトでも紹介されていたので、これは間違いない!と思いさっそく会社に頼んで買いました。
 間違いなかったです。久々のヒット!
 ひさびさに新書らしい新書です。基礎教養的なことを、その道のプロが易しく書くってのは。最近は話題先攻型が多かったからなぁ。
 
 この本の要旨を簡単に言えば、「なぜグーグルは凄いのか、今までのIT企業と何が違うのか」「ロングテールweb2.0とは何か」「皆が表現するブログ時代には何が変わっていくか」「リナックスウィキペディアに見られるオープンソースが社会をどう変えて行くか」ってなところです。

 最近はOSやアプリケーションソフトの進展でなくて、気付いたらウェブ上での技術の進展が凄まじく進化してた、というのが正直な状況ですよね。グーグルの検索はあっという間に広がったし、ネット書店もなんだかんだ言いながら利便性や嗜好性からアマゾンを利用してしまっています。
 ちょうど、オイラのブラウザsafariのブックマークツールバーが、GoogleAmazonWikipediamixiになっているってのが、すべて物語っています。そしてこれらの4つは、もちろん本書の中でも重要な位置を占めていました。(ちなみに上の4つ以外のツールバーは、ニュースフォルダと、ヤフオクと、ゼンリンの地図サービス「いつもガイド」)
 これまでは、IT企業を代表するマイクロソフトがOSやブラウザなどを支配していました。これらを梅田氏は「こっち側」と言います。そして今急進的に伸びているグーグルは、検索技術という武器をもとに、すべての知性についてアクセスする環境をつくりつつあります。それを梅田氏は「あっち側」と言います。
 Windows95発売からおよそ10年。この間にパラダイムシフトがあったならば、インターネットの主戦場が「こっち側」から「あっち側」になった、ということなのだそうだ!グーグルが未だその会社の正体が漠然としているのも無理はない。「あっち側」なんだもん。

 これから技術の進展や、それに伴って社会がどう進展していくかは、いかに「あっち側」を理解できるか、ってところにあるようです。

 少なくとも、これからのネット社会に悲観することはない、という梅田氏の声が聞こえてきそうです。